数学が苦手に感じる人ほど、勉強の仕方が間違っている
数学という学問は、単純に暗記すれば点数が取れる教科とは違い、公式や解法を覚えれば点数が取れるというものではない。
勉強量に比例して成績が伸びる訳ではないので、 「やってもできない」 「数学は嫌いだ・苦手だ」 と感じる学生も多いだろう。
担任や家庭教師として受験生と接してきたこの十数年、
といった悩みを多く聞いてきたし、実際に私自身も高校生の時に同じように悩んでいた。
このような悩みに陥るのはなぜか。
理由はシンプルにひとつ、勉強方法が間違っているのである。
言い換えると、効率の悪い遠回りな勉強方法に時間を割いてしまい、本当に理解しておくべき部分にまで手が回っていないのである。
まさに私もこのタイプの学生だったが、現役生時代はこのことに気付けず、貴重な時間を無自覚に無駄に過ごしてしまっていた。
(後に浪人生となり、この事実にやっと気付いたときには「今までの努力は一体…」と、愕然としたものだ。)
それでは、数学において本当に理解しておくべき部分とは何なのか。
それはズバリ、【解法の方針】である。
この記事では、生徒によく聞かれる質問も交えながら、正しく効率の良い勉強方法について、具体的にみていこう。
解法の方針とは
言葉で説明しても少し分かりにくいので、具体例で見ていこう。
まずは、大学入試で頻出の最大値もしくは最小値を求める問題を例に挙げてみよう。
この問題に出会ったとき、あなたならどう考えるだろうか。 私の生徒なら「最大値」や「最小値」というキーワードを見つけた瞬間、
と反射的に方針が思い浮かぶはずである。
(私は生徒に、これが身につくまでしつこいほど教え続ける。)
もちろん、全ての最大値・最小値を求める問題がグラフで判断して求められる訳ではない。
時には相加・相乗平均の関係を用いたり、グラフを描かずに式変形だけで求めるパターンもある。
だが、最大値・最小値を求める問題の大原則は、グラフを描いてみることである。
確かに、この問題はグラフを描いたら一発で最大値が求められる。
しかしこれくらいシンプルな問題であれば、いちいち方針など気にしなくても、「平方完成してグラフ上から判断すれば良し」と解法を覚えている学生も多いだろう。
それでは、次の問題はどうだろうか。
この問題を見てすぐに
と方針を見抜ける学生はどれくらいいるだろうか。
この問題は $x$ と $y$ の2変数関数となっており、$x+y^2$ ってなんやねん… となりがちである。
ここで役に立つのが、方針を立てる力である。 これは最小値を求めさせる問題なので、グラフを使って最小値を見つけたい。
$x+y^2$ のグラフとは…? となるが、$x+y=2$ という条件式から $y=-x+2$ と式変形して $x+y^2$ に代入すれば、無事に $x$ だけの2次関数に書き換えられ、グラフも描ける。
(ちなみに言うと、書き換えをする際には必ず範囲も書き換える必要があるのだが、今回は範囲の条件はないのでスルーしてよい。)
念のため、略解を記しておく。
方針なんていちいち考えなくても、これくらいなら数式を変形していたら解答を見つけ出せるだろう!という学生のために、さらに応用させた問題を見てみよう。
どうだろうか。
このように、最大値・最小値を求める問題ではグラフ化して判断するのが大原則だと知っていたら、迷うことなく解法の方針を立てることができるのだ。
ちなみに、この問題を誘導なしで解くのはなかなか難しいだろう。
この場合は $\sin\theta+\cos\theta=t$ と置き換えることで与式を2次関数に変換できるのだが、これに気付くには訓練が必要である。
だが、大抵の場合は $\sin\theta+\cos\theta=t$ とおくように誘導されているので、あまり気にしなくてもよい。
(難関大学志望者は、この誘導がなくても解けるように訓練しておきたい。)
置き換えのヒントとなるのは $\sin2\theta$ で、ここから $\sin2\theta=2\sin\theta\cos\theta$ を連想し、 $\sin\theta+\cos\theta$ を2乗することで $2\sin\theta\cos\theta$ と繋げられることに気付くのである。
このあたりの訓練も、三角関数の分野でしっかりとまとめていくので、難関大学志望の学生も安心して本ブログに着いてきてほしい。
さて、この問題の解答は以下の通りである。
解法ではなく【解法の方針】を覚えると、初見の問題にも対応できる
上で説明した例でいくと、最大値・最小値を求める問題では「グラフを描いて最小値と最大値はどこか判断する」という方針を覚えておくことが大切だ。
最大値・最小値を求めさせる問題の解法パターンは、本当にたくさん存在する。
これを問題設定ごとに一対一で解法を覚えていくのでは、非常に非効率的だ。
しかし「グラフで判断」という大きな流れ(方針)を知っていれば、問題設定や出された分野がどうであれ、たいていの場合は「グラフ化する」という目標に沿って解答していけばよいのだ。
※先ほども説明した通り、相加相乗平均などを用いる別のパターンもあるので、全てがグラフで判断できる訳ではない。
しかし当ブログでは、この別パターンの方針や発想についても解説していくので心配はしなくてよい。
「グラフ化する」という大きな流れに沿っていると、グラフ化するために、グラフの形が既知の関数になるよう文字の置き換えや式変形しようと気付けるようになる。
このように、問題パターンに対して方針を押さえておけば、覚えておくべき事項がぐっと減らせるのだ。
【まとめ】方針を理解し、解法の丸暗記を避けよう
当ブログでは「丸暗記しない数学」をモットーに、解法の方針を重視して指導していく。
数学に苦手意識を持っている人にこそ効果がある学習法だと確信しているので、数学が苦手・嫌いな学生はぜひこのブログで勉強してみてほしい。
全分野の学習を終えた後には、数学に対する考え方が大きく変わっているはずだ。
また、高校数学で出会う公式の約4割は丸暗記しなくてよいのだが、これについては別の記事で紹介するのでそちらを参照してほしい。
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